1. HOME
  2. 鍛冶屋物語/岩崎永佑
-岩崎永佑氏経済産業大臣認定 播州三木打刃物伝統工芸士-
一覧へ戻る
積み上げられた経験と科学的な 根拠に基づいた揺るぎない自信 岩崎永佑氏

追入のみ、叩きのみ、突きのみ、外内丸のみ、細工のみ…。のみには大工用のみと彫刻や木型等の特殊のみがあり、その種類は百数十種。品目では、なんと数千種にも及ぶ。我が国の伝統と文化を誇る木造建築では必要不可欠な道具です。三木では江戸時代後期の文政年間(1800年頃)のみ鍛冶のあったことが記録されています。

岩崎のみ製作所 岩崎永祐さんは、鑿製作一筋に40年の月日を費やしてきた播州三木打刃物伝統工芸士です。子どもの頃から弟子入りし鍛錬を重ねられることの多い職人の中でサラリーマン生活を経験された後、26歳でこの道に入られたという異色の経歴を持っています。

経験と勘を頼りに名人技をもって逸品を作り上げていきますが岩崎さんの場合は、ここに科学的根拠に裏打ちされた自信が加味されています。職人としてのスタートが遅かった分、サラリーマン時代に培った消費者感覚をふまえ、10年に一度の最高作品よりも岩崎のみ製作所から発せられる製品全てが100%の高品質を保ちお客様に届けられることを目標としています。そこには匠の気概というよりも、もの造りに真摯に取り組む職人魂がありました。
小売・卸業者の要望に応えながら現場で使用するエンドユーザーに確かな信用を得て行くには、硬度検査・組織検査・温度管理など材料学から研究しつくした上で固有の鋼の持てる力をいかに引き出すかを極めるまさに消費者の立場に立った製品造りから。「名人が鍛えたと言ってもお客様の満足が得られなければ意味がない。」とまっすぐ見据えた瞳の中に信念の炎が燃えています。

使われて喜ばれる道具造り

取材に伺った折、炉の温度は1300度。炎の上がり具合をみながら温度調節を行います。製品は1200度まで上がると上がり過ぎ、組織が破壊され強度に問題が発生します。1150度という微妙な最適温度こそ、岩崎さんがつかんだ研究の結果なのでしょう。
地鉄が最適な温度で真っ赤に焼かれ鍛接(付鋼)されます。この段階では鋭い切れ味とはほど遠い分厚さの刃先が一丁一丁鍛造されていくうちに鑿らしい型に整えられさらに磨き上げられて行く様は圧巻。その後、焼入れ・焼戻しされた刃は最高の切れ味と耐久力を備えここに名人でありながら日常の現場で職人さんたちに愛される左のぶ弘作品として完成します。
岩崎さんの作品に輝く「左のぶ弘」の商号は親の代から受け継ぐ二代目の証し。伝説の彫刻職人左甚五郎からとったその名前は、甚五郎作品のように後世にまで語り継がれることを目指して います。

伝統的工芸品マークの貼られた左のぶ弘 追入のみグミ柄は、岩崎さんが伝統に則った古式鍛錬法によって鍛えられた作品です。どっしりとした重さと美しさを放つ逸品は、美術工芸品のように崇高な雅さを感じます。刃を支える木柄はグミを用いています。振り下ろされるハンマーの振動を吸収し手に馴染みやすい事から職人さんたちの中でも使いやすさに定評があるものです。匠の技と経験そして科学的裏付けをもって究極の逸品・高級品を造り上げるということに日々精進しながら、どこまでも「使いやすさ」重視の「道具」造りにかける魂がしみ込んでいるようです。
しかし、ここでも岩崎さんの語るのは「切れる切れないは、お客様が知ること。」と柔らかな微笑みを返すばかり。そこにゆるぎない自信と誇りを感じ、岩崎さん自身の人となりをかいま見る思いがしました。

大工道具・手動工具

電動工具・エア工具

計測工具

建築・作業用品

安全・保護用品

金具

園芸・農業

生活用品